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私たちは遅過ぎました。山は裸になりソーラーパネル4000枚が設置されてしまいました

説明会後、払拭されない心配と問題を意見書に

メガソーラー周辺住民有志は、先日7月21日の事業者からの説明を受けて、意見書を提出しました

 意見書印刷用(5頁)word

 

石岡市中戸大型太陽光発電施設建設についての周辺住民の強い心配と意見

2016年8月1日 周辺住民有志

 

 この大型太陽光発電施設は、自然環境、景観が極めて優れた難台山山腹(中戸地区)に建設されようとしています。工事は、周辺住民への説明もなく突然開始され、すでに森林は伐採され、地形が改変され、太陽光パネルの設置もおおよそ完了するところまで進んでしまっています。しかし、防災の基幹であり施工の最初の段階で先行して進められる筈の雨水・土砂流出防止施設は、まだ着工もされていません。これからの台風等による豪雨災害が強く心配されています。

 建設途中の現状から判断すると周辺住民としてこの施設建設には容認できない問題点が4点ほどあります。

①   雨水・土砂流亡等の防災上の強い心配がぬぐえません。

②   景観環境が著しく損なわれています。

③   強い圧迫感があり、近隣住民の生活、営業に大きな障害が予測されます。

④   隣接地には住宅、観光営業施設があり熱風、強風などが心配です。

 

私たちのこれらの心配は、住民33名と事業者および行政担当者等10名、合計43名が参加した7月21日の説明会での貴社からの説明ではまったく解消せず、説明を聞いてなおいっそうの疑問と心配が湧いてきています。以下では、周辺住民の立場からのこの事業とその進め方に対する疑問、心配、要望を述べます。迅速な誠意あるご回答をお願いします。

 

1.周辺住民との話し合いがなされないままに着工されたことはたいへん遺憾です

 

先日(7月21日)は私たちの強い要望で周辺住民への事業説明会が開催されたことはとてもいいことでした。しかし、こうした説明会は事業着工以前に開催し、住民の意見要望も事業計画に取り入れて進めるというのが本来のあり方なのだと思います。なぜ事前説明がなされないままに、施工が強行されたのかについてご説明ください。

この点に関して環境省低炭素社会推進室の「手引き(事業者向け)」には次のように記されています。

 「また、施工時の騒音や振動等が問題になる可能性もあります。他に考えられる例として、林地を開発して太陽光発電施設を設置する場合に、樹木等の伐採により保水機能が喪失し、降雨時の排水に影響することがあります。

 これらの事象による影響を最小限にするために、環境への影響等を予め調査し、必要な対策を検討しておくことが重要です。そして、事前に近隣住民に対して説明し、意見交換等を行っておくことが望まれます」。

(『地域における再生可能エネルギー事業の事業性評価等に関する手引き(事業者向け)~太陽光発電事業編~』2014年6月、52ページ)

 

また、先に制定された石岡市の「太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」には次のように書かれています。

 「事業計画の説明については、小規模な太陽光発電施設で、周辺住民や土地の所有者への十分な場合や、メガソーラー等の大規模な太陽光発電施設で、周辺住民や土地の所有者に加えて、防災面、景観面、環境面等で影響が考えられる地域住民、自治会等、広範囲への周知が必要となる場合があります。特に大規模な太陽光発電施設については、住民説明会の開催や住民の意見を聞くなどの対応が求められます。

周知等にあたっては、次の方法により住民との合意形成を図ることについて配慮して下さい。

(ア) お知らせ看板の設置

太陽光発電施設の事業者は、事業着手前から工事完了までの間、事業内容や問合わせ先を記載したお知らせ看板を敷地の見えやすい場所に設置すること。

(イ) 事業計画の周知

太陽光発電施設を設置する前に、事業者は周辺住民等への回覧、戸別訪問等により事業内容を周知するとともに、事業に対する意見等の把握に努めること。

(ウ) 説明会の開催

周辺住民等から説明会開催の申出があったときは、円滑に事業をすすめるため説明会を開催し、合意形成を図るよう努めること。

(エ) 苦情対応

事業に関する苦情が寄せられたときは、事業者は誠意をもって対応すること」。

(「石岡市太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」平成28年6月1日制定、5~6ページ)

   

2.了解無しの設計変更は、納得できません

 

 この事業は、茨城県へ林地開発として申請し認可されたものであり、その際に提出された設計・施工計画に基づいて実施されるべきで、恣意的な設計変更は認められません。変更の場合は、その都度の県の了解が必要なのだと理解されます。しかし、先日の説明会では重要な点で設計変更がなされ、県の了解なしに工事が進んでいる現状が明らかになりました。

私たちがとくに問題だと受けとめたのは、①切土、盛土による地形変更、②それに関連した「雨水浸透池」等の設置計画の変更、③西側への2列5箇所のパネル設置の増設です。

①   に関しては、県に提出された当初の図面には「切土、盛土はしない」と記されていました。この土地は、原形ではほぼ東西に峰(尾根)がありその北側と南側に傾斜面に沿って二方向への水の流れがあったと推定されます。ところが、実際の施工では、この尾根の部分が大きく切土され、北側斜面が盛土され、南側にパネルを設置しやすい傾斜斜面が造成され、そこにすでにパネルが設置されてしまっています。

この地形改変によって、北側に流れていた雨水は、南側に流れるようになり、その結果南側の流量の増大が予測されることになりました。

この切土・盛土による地形変更は、きわめて大きな設計変更だと考えられます。これを届け出なしに、しかもそのことに伴う環境影響の慎重な予測と診断もなしに実施したのはなぜでしょうか。

②   「雨水浸透池」の設置計画の変更は、この地形変更に伴うことと考えられますが、「雨水浸透池」の設置計画の変更が場当たり的で、十分な測定予測に基づくものとは考えられません。特に、最南西端の雨水浸透池の設置場所は、急斜面であり、変更されて提出された図面には、池が二つに分離されていますが、この形を実現するにはさらに急勾配の擁壁を築かねばならず、実に場当たり的で安全性が欠如されていると同時に、貯水できる水量も当初の計画より数段減じる結果になっていると考えられます。

したがって、この「雨水浸透池」の設置変更は、どのような根拠でどのような測定予測に基づくものなのかをご説明くださり、また設置される池の詳細な断面図等をご提示ください。

また、新たに計画されている西側の長方形の形をした雨水浸透池は、近隣住民の生活環境悪化への懸念、特に蚊の発生等の問題もあり、設置は認められず、この部分への樹木植栽(原植生への復帰)を強く希望します。

③   本事業地の公道に接する西端の盛り土部分についてですが、これは近隣住民への著しい圧迫感をもたらしています。この部分はかなり高い盛土となっており、その下部にはフレコン土嚢が並べられています。盛土崖の崩壊、その圧迫感、フレコンの嫌悪性、そしてその上に設置されたパネルの威圧感と景観破壊は耐えがたいものです。したがって、近隣住民としては、この部分のパネル2列5箇所を速やかに撤去するとともに、地形をより緩やかな勾配として道路面と同じ高さで摺り寄せて圧迫感をなくすと同時に、樹木植栽とフレコンの撤去を強く要望します。

 

3.雨水処理、土砂流失防止へのより慎重な計測と「雨水浸透池」の設置設計のしっかりとした見直しをお願いします

 

 この事業についての周辺住民の切迫した心配は、森林伐採と地形変更による土砂災害の発生です。先日の説明会における県の担当官の説明では、予測雨量は10年確率で50~60㎜/時程度として計算してあるとのことでした。

しかし、これは「雨水は敷地内で浸透処理させる」という開発計画の建前にかかわる計算であって、防災視点からの計算ではありません。最近の激しいゲリラ豪雨等(石岡市八郷地区ではこれによって毎年大水災害が繰り返されています)をリアルに想定したものとは到底考えられません。災害防止の視点から、もう一度雨量データなどを見直して、慎重な計測予測と災害が決して起こらないようなしっかりとした施工計画を立て直してください。

 

4.近隣住民の生活や営業の保全、景観等の環境保全にもっとしっかりと配慮して下さい

 

この施設に隣接する住民の1戸は、子どもたちへの自然教育と自然に優しい余暇活動の場を手作りし、そこで教育的観光事業を個人として進めようとしており、もう1戸は福島原発被災地(大熊町)からの避難者で、各地を転々とした後に自然豊かなこの地に定住を決めて、土地家屋を取得してここで生活しています。

希望に燃えて暮らし始めたこの2戸の住民にとって、今回の突然メガソーラー施設の設置の衝撃はきわめて激しいものでした。しかし、今回の施工の実態からはこうした近隣住民の衝撃を和らげようとする配慮は、ほとんど感じられません。

たとえば、残置森林の配置は、近隣住民との境界、緩衝帯としてではなく、事業地の反対側(東と南)に発電の妨げにならないことだけを考慮した面積合わせの配置としか受け止められません。今回の開発に関して森林法で義務付けられた25%の残置森林は、せめても環境保全、緩衝帯として配置するのが普通の考え方でしょう。

したがって、敷地北側の管理用道路の北側に幅員4m前後の帯状の土地がありますが、ここに適切な植栽を施し、景観の向上に努めること。特に、この管理用道路が曲がっているところには敷地に少しばかりの余裕がありますが、この部分には十分な植栽をすること。そのほか近隣住民との境界部分全体について、景観保全、熱風被害等の防止も狙いとした緩衝帯の設置を強く要望します。なお植栽については、八郷地区で伝統的に垣根に利用されてきた「モチノキ」が最適と考えられます。

 

 この事業は単なる民間の経済事業ではなく、福島原発事故を踏まえた再生可能エネルギーの拡大を目的とした公共性の高い事業として、国の政策的支援を受けて進められているものです。先の説明会での貴社からの事業説明でもそのことが強調されていました。今回の事業の経済的基礎は「再生可能エネルギー固定買い取り制度」にあります。高く設定された買い取り料金のための資金は、電力消費者の電力料金でまかなうことになっています。

この制度は「環境」と「電力消費者負担」の二つの視点から成り立っているのです。

ですから、これからの話し合いは私的経済事業に関する近隣者との利害調整ではなく、この事業は国の政策に沿った公共性の高い事業である筈で、それが公共的趣旨から離れて、無謀に進んでしまわないように、いわば資金負担者の代表として近隣住民、周辺住民が意見、要望を述べるための場でもあります。これからの話し合いはこうした趣旨を踏まえて、前向きに進められるよう希望します。

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以上です